昨今の問題の多くが「権力と服従」で説明できるのではないか。

普通の日本の人々にとって、権利はもともとあるわけではない。義務をはたさないものには権利はない。権利は権力者から恩寵として授けられるものであるため、権利ばかり主張するのはご法度である。その意味で基本的人権がいけないなどという放言は放言ではなく、ある種の人々の普通の感覚なのかもしれない。

この意識は有給の取りづらさにつながっている。日本では有給は上司などの権力を持つ人が恩寵として与えるものなのではないか。そのために上司のご機嫌を取り、いい関係を保つのに頑張り続ける必要がある。服従し続ける必要がある。「こんなにも尽くしているので、有給を取らせてくれませんか?」である。間違っても「わたしには休む権利がある。労働者には」などと言ってはいけない。そもそも権利などないのだから。

正確にその意味を知っているわけではないが「丁稚奉公」という言葉が浮かぶ。衣食住を提供して貰う代わりに、なんでもする、というようなイメージ。認める限りでしか私生活はない、みたいな。これが日本の「働く」イメージなのだとすれば。