筆者は人気にあまり興味がありません。そのような捉えどころのないものを扱うことに徒労を覚えるからかもしれません。しかし、人気は非常に注目されています。

筆者がしばしば不思議に思うのは(不思議に思うだけでなく時折反発をしていますが)、作品の質について語るのでなく、作品がいかにブームを巻き起こしているか、ブームを続けられそうかについて語る人々です。

「あんなスキャンダルを起こして大丈夫かね」「全然話題になってないね」

そんなことより作品について語ってほしいと思っています。ブームなどという捉えどころがなく難しいものではなく、作品そのものを語ってほしいのです。

無論、これは筆者の私見です。ブームを楽しむ人は楽しめばいい。しかし(私怨から)指摘しておかなければならないのですが、それは作品を楽しんでいるのではなく、作品外の情報であるところの人気を消費しているのです。

ところでなぜ人気について語るのでしょうか。筆者の考えでは、作品について語るほど知識がなく、語るのが恥ずかしいと思う(下手に語って突っ込まれたら嫌だと思う)人々が、それでも語りたいときに人気について語るのではないかと睨んでいます。作品そのものについて語るよりも人気について語る方が容易だというわけです。

しかし、筆者は作品そのものについて語るより、人気について語る方が難しいと思います。難しいというよりも、正確なことを言うのに非常に苦労するはずです。なぜなら作品については自分と作品の関係を言葉にすればいいわけです。「ここが好き!」「あそこがエモい」でいい。
人気については確定的なことが言いにくい。「こうすれば人気が出る」「こうだったから人気が出た」などはもとより、そもそも今人気があるのかないのかさえ慎重に見定める必要があります。人気は自分のことでないので正確であるかを評定しないといけません。

もちろん、正確なことなど言う必要はなくて好きに語ればいいし、作品そのものでなく人気を消費すればいいのですが。

初出:note(2017.06)